HOME > 知っておきたい相続の事 > 相続税の申告について
相続税は、相続する財産(プラスの相続財産—マイナスの相続財産)の課税価格から基礎控除額を引いた財産に対してかかります。基礎控除額は3,000万円+(600万円×相続人の数)です。
例えば、相続する財産が8,000万円であり、相続人が息子と娘の2人だったとすれば、基礎控除額は4,200万円(3,000万円+(600万円×2))となります。
そのため、相続する財産8,000万円から基礎控除額4,200万円を差し引いた3,800万円に対して課税されることになります。
もし、相続する財産が基礎控除額以下であった場合には、相続税の納付義務はなく相続税の申告は必要ありません。
(※相続する財産の総額を間違えて、後々に相続税だけではなく延滞税としてさらに多くの税金が課された例もありますので、ご自身で相続する財産の総額を調べるのではなく、専門家に相続財産の調査を依頼することをおすすめします。)
相続税={課税価格(プラスの相続財産—マイナスの相続財産)−基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人の数)}×法定相続分に関わる税率
また、相続税は原則として被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に、全額現金で納めなければなりません。
もし相続税の納付が遅れると、延滞税や無申告課税など本来払わなくていいはずの税金も納めなければならない場合があります。
相談前にまずは、相続税の申告と納付について「どのような決まりがあるのか?」を把握しておきましょう。
相続税の申告・納付は被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。
相続税の申告を行うには、申告書を含む必要書類を被相続人の住所を管轄する税務署に提出します。また、相続税の納付は税務署だけではなく郵便局や金融機関の窓口でも行うことができます。
例えば被相続人が4月10日に死亡した場合には、10ヶ月後の2月10日が申告・納税期限となります。仮に期限である2月10日が土・日・祝日のいずれかであれば、その翌日が期限となります。
もし相続税の申告や納付が遅れてしまった場合は、無申告加算税や延滞税等が課されてしまう場合がありますので注意しましょう。
相続税の申告には相続する財産の種類によって様々な書類を用意しなければなりません。また書類に記載漏れや不備があったり、必要な書類が抜けていたりすると申告ができないので注意してください。申告に必要な書類は下表のようになっておりますが「具体的にどのような書類が必要なのか?」については最終的に税理士に相談することをおすすめします。
No. | 種類 |
必要書類 |
取得先 |
---|---|---|---|
1 | 土地 |
全部事項証明書(登記簿謄本) |
法務局 |
2 | 固定資産税評価証明書 |
市町村役場 |
|
3 | 地積測量図又は公図の写し |
法務局 |
|
4 | 実測図 |
ご自宅など |
|
5 | 賃貸借契約書(貸地・借地の場合) |
ご自宅など |
|
6 | 建物 |
全部事項証明書(登記簿謄本) |
法務局 |
7 | 固定資産税評価証明書 |
市町村役場 |
|
8 | 間取り図 |
ご自宅など |
|
9 | 賃貸借契約書(貸地の場合) |
ご自宅など |
|
10 | 上場株式 |
株券コピー(表・裏) |
ご自宅など |
11 | 証券会社の預かり証明書 |
証券会社 |
|
12 | 家族全員の最近5年間の取引明細 |
証券会社 |
|
13 | 配当金通知書 |
ご自宅など |
|
14 | 非上場株式 |
直前3期の法人税の申告書一式 |
発行法人 |
15 | 最近5年間の株主等名簿 法人 |
発行法人 |
|
16 | 法人所有の資産がある場合 各資産に関する必要書類 |
発行法人 |
|
17 | 現預金 |
預金残高証明書 |
金融機関 |
18 | 既経過利息計算書(定期性預金の場合) |
金融機関 |
|
19 | 被相続人の過去の通帳等コピー |
ご自宅など |
|
20 | 家族全員の過去の通帳等コピー |
ご自宅など |
|
21 | 電話加入権 |
電話番号と所在場所 |
メモしてください |
22 | ゴルフ会員権 |
預託金証書又は株券のコピー |
ご自宅など |
23 | 生命保険等 |
保険金支払い通知書 |
生命保険会社等 |
24 | 継続している生命保険の保険証書コピー |
ご自宅など |
|
25 | 満期返戻金のある火災保険等の保険証書コピー |
ご自宅など |
|
26 | 退職金 |
支払通知書 |
勤務先 |
27 | 貸付金 |
金銭消費貸借契約書及び残高のわかるもののコピー |
ご自宅など |
28 | 書画骨董等 |
品名・作者名・写真等 |
メモしてください |
29 | 家財 |
特記すべきものの明細 |
メモしてください |
30 | その他の財産 |
未収入金等の場合は通知書など |
ご自宅など |
No. |
種類 |
必要書類 |
---|---|---|
1 | 借入金 |
金銭消費貸借契約書のコピー |
2 | 銀行等の残高証明書 |
|
3 | 未払金 |
請求書・領収書(医療費・保険料・公共料金等) |
4 | 未納税金 |
課税通知書 |
5 | 納付書 |
|
6 | その他 |
その他債務の明細 |
7 | 葬儀費用 |
諸経費控 |
8 | 領収書(お寺・心付け等領収書の無い場合は書き出してください) |
|
9 | 香典帳等 |
No. |
必要書類 |
取得先 |
通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など |
市区町村役場 |
各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 |
市区町村役場 |
1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 |
市区町村役場 |
各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 |
市区町村役場 |
各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 |
市区町村役場 |
各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 |
ご自宅など |
1通 |
7 | 相続人全員の実印(遺産分割の場合) |
ご自宅など |
- |
8 | 被相続人の略歴書(病歴・入院歴) |
ご自宅など |
- |
9 | 被相続人の死亡診断書のコピー |
病院 |
- |
10 | 各相続人の職業・自宅電話番号 |
ご自宅など |
- |
No. |
必要書類 |
---|---|
1 | 相続開始前3年以内の贈与の内容及び贈与税の申告書コピー |
2 | 相続開始前2年間の被相続人の所得税の確定申告書コピー |
3 | 準確定申告のために必要な資料(源泉徴収票・収入明細・領収書・保険等控除証明書) |
No. |
必要書類 |
取得先 |
通数 |
---|---|---|---|
1 | 被相続人の生まれた時からお亡くなりになった時までの除籍謄本、改製原戸籍謄本など |
市区町村役場 |
各1通 |
2 | 被相続人の住民票の除票 |
市区町村役場 |
1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 |
市区町村役場 |
各1通 |
4 | 相続人全員の住民票 |
市区町村役場 |
各1通 |
5 | 相続人全員の印鑑証明書 |
市区町村役場 |
各1通 |
6 | 遺産分割協議書または遺言書 |
ご自宅など |
1通 |
7 | 相続不動産に関する全部事項証明書(登記簿謄本) |
法務局 |
各1通 |
8 | 相続不動産に関する固定資産税評価証明書 |
市区町村役場 |
各1通 |
9 | 相続人全員の実印(遺産分割の場合) |
ご自宅など |
- |
相続税の申告・納税が被相続人の死亡した翌日から10ヶ月以内に行われなかった場合には、延滞税や無申告加算税が追加で課税されます。
また申告時に虚偽の相続額を申請した場合にも過少申告加算税や重加算税などが追加で課税されますので、注意して下さい。
相続税の税額や申告手続きは、その人の置かれている環境によって変わります。
相続する財産の種類によって、申告する相続告財産金額や申告に必要な書類が異なり、とても複雑ですので、相続に関しては専門家である税理士に相談することをおすすめしております。
まずは、相続に関してお客様からよくいただく質問事項を下記にまとめましたので、「相続が発生しそうだが、何から始めればいいかわからない」「どこまで相続税がかかるのか分からず不安」「相続税の申告の仕方だけでも前もって知っておきたい」など不安や悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご自身のケースと照らし合わせてみてください。
Q | どこまでの人が法定相続人になれるの? |
A | 法定相続人とは財産を相続できる人のことであり、民法でその範囲が定められています。財産を相続できるのは被相続人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹です。 |
Q | 相続人が多数いる場合はどうなるの? |
A | 遺言書がなく、さらに法定相続人が多数いる場合には、民法に定められている優先順位が適用されます。ただ、その優先順位によらず常に相続人となれるのが、配偶者です。 法定相続人の優先順位に従うと、まず第1順位の相続人は被相続人の子供です。 もし相続開始時に子供が死亡している場合には、代わりにその子供の直系卑属(子供や孫)が相続人となります。 また、直系卑属(子供や孫)が複数いる場合には、被相続人とより近い世代の子供を優先します。 第1順位の人がいなかった場合、第2順位の相続人は、被相続人の直系尊属(父母や祖父母)になります。 被相続人の両親や祖父母など直系尊属(父母や祖父母)が相続人として優先されます。 もし直系尊属が複数いる場合には被相続人とより近い世代の父母を優先します。 第1順位、第2順位の人がいなかった場合、第3順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹となります。 もしもその兄弟姉妹が死亡している場合には、代わりにその子供が相続人となります。 簡単にまとめると、被相続人とその配偶者が死亡している場合は子供、もし子供がいなければ孫、子供も孫もいなければその両親や祖父母、子供も孫も両親も祖父母もいなければその兄弟姉妹が法定相続人となります。 |
Q | 胎児には財産相続の資格があるの? |
A | 民法で、胎児はすでに生まれたものとみなされます。そのため、胎児は配偶者である妻と共に法定相続人になることができます。 例えば、妻が妊娠中に夫が亡くなった場合、妻とともに胎児も夫の財産を相続することができるのです。 |
Q | 養子に財産相続の資格があるの? |
A | 養子は離縁するまで財産相続の資格を有します。 また養子はその実の父母に対しても財産相続の資格を有しますから、実質養子は養父母と実父母の両方の財産を相続することができます。 例えば、養父が亡くなった場合、法的に離縁をしていない限り、養子は養母とともに財産を相続することができます。 また養子の実の父が亡くなった場合にも、その財産を実母とともに相続することができます。 |
Q | 死亡した子供、胎児には財産相続の資格があるの? |
A | 被相続人が死亡した翌日までに子供が死亡していた場合は、財産を相続することができません。 もしそれまで生きていたことが証明できれば財産を相続することができます。また、胎児には民法上、財産の相続権を有しますが、それが死産になってしまった場合には財産を相続することはできなくなってしまいます。 |
Q | 相続する財産額はどうやって出せばいいの? |
A | 相続税は相続する財産額に応じて変動します。そのため、法定相続人は相続する財産額を正確に把握しておかなければなりません。 財産の評価方法は法律である程度定められていますが、土地の評価については様々な評価方法があり、どの評価方法を使うかによって相続税額が大きく変わってしまいます。 また、預貯金や株式などは評価額がほとんど決まってしまうため、その評価額を下げる事は難しいでしょう。しかし、土地の評価については、評価方法によって大きく相続税を減額できる可能性があります。 そういった意味でも、相続の専門家である税理士に相談することをおすすめします。 |
Q | 配偶者にかかる相続税は少なくなるって本当? |
A | 財産を配偶者が相続する場合、申告をすれば「配偶者の税額軽減」という制度が使えます。この制度を使うと相続する財産額が1億6,000万円以下の場合、配偶者に相続税は課税されません。 しかし、もし配偶者が将来的に死亡し、その子供が第二次相続として財産を相続する場合、通常よりも相続税の負担が大きくなってしまう可能性があります。そうならないためにも、税理士と相談し、第一次相続と第二次相続のシミュレーションをしてからこの制度を適用するようにしましょう。 |
Q | 贈与税は何に対してかかるの? |
A | 贈与税は個人から個人に財産を贈与する時に、財産を取得した者に対してかかる税金です。 個人から個人に財産を贈与した場合、自分が保険料を支払っていない保険金を受け取った場合や、債務免除などにより利益を得た場合などにかかります。 |
Q | 贈与税の申告・納付はいつまでに、どのように行えばいいの? |
A | 贈与税の申告・納付は財産を貰った年の翌年2月1日から3月15日の間に行わなければなりません。原則は現金一括で支払わなければいけませんが、贈与税は一定の条件を満たし、提出期限までに税務署に申請書などを提出する事で、分割で納めることもできます。 |
Q | 自宅(建物)の評価について |
A | 自宅の評価は、固定資産税の評価額によって決まります。持ち家であれば毎年4月に固定資産税の納付書と課税明細書が届きます。 その課税明細書に固定資産税の評価額が記載されています。 その金額が自宅の評価額になります。 |
Q | 株式の評価について |
A | 株式は、基本的に上場株式の課税時期の最終価格によって評価されます。 もし、最終価格が課税時期の前々月から当月までの毎日の最終表価格の平均額を超えた場合は、最も低い評価額によって評価されます。 |
Q | 自宅(土地)の評価について |
A | 土地の評価方式には、路線価方式と倍率方式があります。
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Q | 自宅(土地+建物)の評価額を減額するにはどうすればいいの? |
A | 土地の評価額を下げることは、相続税を減額させる上で重要です。土地には様々な評価方法がありますので、評価方法によって評価額を下げることも可能です。また、中には「小規模宅地の特例」のようにある一定条件を満たすことで、課税価格を下げることができる制度があります。 それらを上手く使うことで土地の評価額を減額することができます。 |